心理学から考える、感情を理解して相手に行動を促すテニスコーチング&アドバイス方法

テニスに通う生徒さんには色々な目的があると思います。

テニス上達したい。

運動不足の解消をしたい。

他の人と知り合いになりたい。

学生の頃激しくやってたから今はテニスを楽しみたい。

とかだったり生徒さんの数だけ目的はありますね。

僕らのようなテニスコーチ・インストラクターは対象の生徒さんのそれらの目的(ニーズ)を満たしつつもプロとしてテニスの技術レベルを引き上げる役目もあります。

そのように色々なニーズがある中で、個人個人のニーズの優先順位はあるにせよ

テニスが下手になりたいと思っている人はいないわけです(当たり前ですが)

また、コーチ・インストラクター自身もどういうレッスンにしていきたいか目的があると思いますが

商売としてテニスレッスンを担当している以上、クラスの人数を増やす使命もある為、やりたいことと相反してる場合もあり実現し難い目的もあるかと思います。

本当はもっと真剣にアドバイスを多く入れたいけど、人数が多いから1人にかけられる時間も限られてしまってる。とか

自分の出来る限り生徒のテニスレベルを高めさせたいって思ってるけどどうやら本人は運動不足解消でそこまでのことを望んでない。とか

一番の目的は楽しく健康的に皆イキイキとテニスしてくれればいいのに、なんだか皆そんな感じじゃない。とか笑

結構、ジュニアを指導してるコーチ・インストラクターはそのギャップに苦しめられるかと思いますが・・・

前置きが長くなりましたが、そんな人たちに対してどうアプローチしていくか今回の記事で考えていきましょう。

意識と無意識

結局のところ、テニスの技術は習得するまでは自分の身体を無意識で出来る状態にするまでは意識し続けなければならないですよね。

ボールが来て

「よし、ラケットひくぞ」

「ラケットヘッドをさげるぞ」

「ここでラケットふるぞ」

「肘はここに持ってくるぞ」

とかほんの一例ですが

いちいちこんなことを大量に思考することは出来ませんし、間に合いません。

なので思考をシンプルにする必要があります。

思考をシンプルにするためには意識していたことを無意識状態でも出来るように練習してくしかないです。

無意識にするために意識する

コレが肝心です。

なので、僕らコーチ・インストラクターは皆さんに色々アドバイスすると思います。

ですが、それで今までに

すぐにそれを気をつけながら取り組める人もいれば、

アドバイスなんて聞いてなかったかのごとくスルーして普段どおりに取り組む人もいます。

この違いは何なんでしょうか??

「センス」とか「人間の性格」という言葉で片付けてしまえば楽ですが、もう一歩踏み込みたいと思います。

問題意識に対するレベル

とある指摘(アドバイス)をもらったとして、生徒の中でそれをどういう風に消化するかは本人の現在の意識のレベルによって変わると考えられます。

例えばですが、

「ラケットを早く引きましょう」

というアドバイスがあったとしてます。

コレはあくまでも説明の為の話なので、こんなざっくりとしすぎたアドバイスは普段言いませんけどね笑

自分のケースに当てはめて考えてもらえばいいです。

レベル1・無知

このレベルの人はそのアドバイスに対して「どうして?」となります。全くの無知状態です。

なので、なぜラケットは早く引かないといけないかをしっかり時間をかけてゼロから説明する必要があるわけです。

レベル2・問題認識

そのアドバイスに対してしっかりとあらかじめから問題認識を持てている人です。

このレベルの人であれば「ラケットは早く引かないとだめだよね」とわかっているので、しっかりと意識をもって取り組むことが出来ます。

レベル3・痛み

このレベルの人はそれが原因で不都合が生じてる人です。

「普段ラケットを引くのが遅いから、球の速い相手だと全然打ち返せない」と

そのアドバイス=問題に痛み(精神的に)を感じている人です。

極端な話、ボールをハードヒットすると肘が痛い(コレは物理的にですが)って人はハードヒットをしないような状態になりますよね?

強制的にハードヒットしちゃいけない状態を物理的な痛みによって作り上げているということになります。

このレベルの人であれば最優先でこの問題を解決したい状態なので

意識的にも無意識的にも同調していて、練習に取り組む状態としては最高と言えそうです。

レベル?・無関心

このレベルの人はそのアドバイスを何度か受けていて知っているにもかかわらず無関心です。

「ラケットを早く引けと言う理屈はわかるけど、別によくない?それよりも私は~~が出来なくて・・・」状態なわけですね。

現状では必要に迫られていないので、こんな状態で練習をしても取り組む姿勢は低めと言えそうです。

これはイメージ力が足りてない状態といえそうです。

どちらかと言うと先に無関心状態から問題認識レベルに変えてあげる工夫が必要になると言えます。

以上の4パターンが考えられますので、対象の生徒がどのレベルにいるのかしっかり判断して必要な事を伝えたり、必要以上に伝えない事が大切だと思います。

無意識での行動

生徒の無意識レベルの状態を知ってアドバイスをしたとしても

意識した行動の前にあるのは無意識の行動です。

そして人間の無意識下での行動と言うのは大まかに2つあるそうです。

1 苦痛から逃れるため

2 快楽を求めるため

これらが元になってるようなので

基本的に人は

無意識の行動 ≧ 意識の行動

なので

無意識の行動 ≦ 意識の行動

状態になるようにコーチ・インストラクターは生徒を言葉やら道具やら何やらでそのように仕向ける必要があります。

感情に訴える

人としての本能の中で無意識の行動が意識の行動に勝さりやすい、

効果的なのが「感情に訴える」という方法が考えられます。

無意識の行動というのは上記でも説明したように

苦痛から逃れたくて、快楽を求めようとします。

つまり人は理屈ではなく、感情が動くときの方が行動に現れやすいのです。

なので相手にアドバイス(意識させたい事)をする時は、感情を揺さぶるような工夫をして理屈は後から。といったような事が効果的だったりします。

その感情が揺らされたことによって

さきほどの

1 苦痛から逃れるため

2 快楽を求めるため

のどちらかの行動にも繋がりやすく、無意識と意識の行動のズレが少なくなって来るんだと思います。

例えば

コーチのとあるアドバイス

「ラケットを早く引いてた方がスイングの振り遅れがすくなくなるから早めのテークバックがいい」というのは一般的に正しいけれど、

ラケットを早く引いたことによって、自分にとって今までになかった身体の不自然さ・タイミングが気持ち悪く、その苦痛から逃れるために元の状態に戻ってしまいます。

だったら

「ラケットを早く引いておかないと振り遅れたときに不自然で無理なフォームで打つことになって、結果肘とか手首を痛めやすくなる(感情に訴える)からそうならないように早く引いた方がいい」

の方が相手からすると、

確かに早く引いてると今の不自然さは身体に馴染んでなくて気持ち悪いけど、身体痛めたくない(不安)からもっと真剣に取り組もうって気になりませんか?

そういったこともあって、なかなか変わらないような人には時には感情を揺さぶるような言葉を使ってその後に理屈を説明してあげるような伝え方が大事だと思います。

アドバイス内容が理屈ばかりでは

強制力は弱く、無意識の行動が勝っちゃうんだと思います。

もちろん、しっかり意識できる人には先に理屈を伝えてもいいし、ケースバイケースだと僕は思ってます。

結局、コーチ・インストラクターのアドバイスは本質的なことは同じだったりします。

大きく違うのは言い回しなのかな と。

その言い回しの部分に個性が出るから面白いのですが。笑

感情の種類

ひょっとしたら

人の行動を促す言い回し方法はその感情の数だけ作れるのかもしれません。

なので感情の種類をウィキペディア参照でみてみましょう。

その数54個!※()を除いて。

すごい数の感情がありますね。もっと色んな感情もあると思います。

これだけの数があれば組み合わせも色々な言い回しが考えられそうですね。

・「ラケットを早く引ければ緩急のあるボールにもタイミング合わせられるようになるから早く引こう(安心)」

・「あの選手もこのくらいの早い段階でラケット引いてるから早く引けるようにしよう(憧憬・憧れ)」

・「ラケットを早く引けなかった人はすぐにベースライン後方のコーンタッチをしましょう(恐怖?)」※僕はこういうことはしませんが笑

考えれば、例えばこんな感じでいくらでも作れますね。

ですが絶対に揺さぶってはいけない感情もあるのは皆さんも直感でわかると思います。

三種類の感情の属性

たくさんある感情の種類に属性が三つあります。

それは

ポジティブ・ネガティブ・どちらでもない中間

になります。

上記で作った言い回しを例として考えていきましょう

1 ポジティブな感情

「ラケットを早く引ければ緩急のあるボールにもタイミング合わせられるようになるから早く引こう(安心)」

これは相手の安心感を引き出すような言い回しになってますね。

全体的にポジティブな言葉なのでトゲがなく、誰にでも使っていいようなパターンと言えそうです。

2 ネガティブな感情

「ラケットを早く引いておかないと振り遅れたときに不自然で無理なフォームで打つことになって、結果肘とか手首を痛めやすくなるからそうならないように早く引いた方がいい」

上のほうでも使いましたが、こういうのは相手の不安感を引き合いにして言いまわす形ですね。

このくらいであれば、相手の今後を心配してる感もあるし嫌われずに済むんじゃないでしょうか?笑

「ラケットを早く引けなかった人はすぐにベースライン後方のコーンタッチをしましょう(恐怖?)」

今回説明のためにこんな言い回しを作りましたが、

出来ないと強制的に遠くのターゲットまで走らされる為、疲れます。多少の緊張感も生まれるかもしれません。

しかしその時の気分によって感想が大きく変動する為、こういうのは注意が必要と思われます。

3 中間の感情

「あの選手もこのくらいの早い段階でラケット引いてるから同じように早く引けるようにしよう(憧憬・憧れ)」

こちらはネガティブでもポジティブでもない言い回しですね。

完全に理屈じゃないパターンですね。

でも相手の憧れている選手であればあるほど説得力が強いと思います。

でもコーチであれば、ちょっと投げやりな言葉かもしれませんね。

補足的な意味合いで使えればいいんじゃないでしょうか?

以上、三つの説明をしましたがネガティブな感情に訴える方法は度が過ぎるとトラブルの元になると僕は思いますので注意が必要かと思います。

信頼について

この記事を書きながら思いました

コーチは相手との信頼関係がなによりも大事って以前より思ってました。

信頼と言うのはポジティブな感情ですよね。

信頼してる人からで言葉であれば内容がどうであれ言葉に重みがあると思います。

信頼という感情を揺さぶって相手に行動するように仕向けてるわけですね。

人間の行動はネガティブ感情に反応しやすい

ネガティブな感情を揺さぶりすぎるとトラブルの元になると考えますが、

どうやら人の行動はネガティブな感情を揺さぶられた方が反応しやすいようです。

考えてみれば、

自動車の運転は多くの人が運転出来てますよね?

両手・足を使いつつ、さまざまな状況に即座に対応せねばならないのにも関わらず。

そうできるようになったのはなぜなんでしょうか?

皆さんも運転の最初の方は神経を集中させて言われたことを意識して忠実にこなしてきたと思います。

その背景には「失敗したら事故に直結する」という巨大な(不安感・恐怖感)が大部分占めていて、車という大きな乗り物を自分の手で操作しているという(喜び・楽しみ)があったからだと考えられませんか?

そう考えると

テニスの強い環境に行くと強くなれると言われているのは、

周りの練習レベルについていけないと他の人に迷惑がかかったりする恐怖感や

自分よりも強い人の中でのテニスは劣等感だったり、誰かに対する憧憬だったり、強い人で打ち合える喜びであったりと・・・

まぁそんな環境ならネガティブな感情に揺さぶられることが多い中

多くの感情が揺さぶられることによってより意識した行動につながり

人は上達していくようなシステムになっているのではないでしょうか?

話は逸れましたが、ジュニア育成の部分ではどうしても厳しく接さざるを得ない場面もあります。時と場合によっては多くのネガティブな感情を揺さぶる仕掛けがあるかもしれません。

しかし、一般のスクールに通う大人に対しては信頼関係が十分にある中で、慎重に言葉を選んで使わないと結果として信頼を失うことにもなると思います。

まとめ

人気コーチ・インストラクター

人を惹きつけるコーチ・インストラクター

指導するのが上手いコーチ・インストラクター

これらの人たちの多くはこの感情にけしかける方法が上手いような気がします。

天然で使っている人もいれば、努力して覚えた人も。

今回の記事で皆さんに何かしらの変化が生まれたならば・・・と思ってます。

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