現代テニスの試合において、フォアハンドを強い打球で返球することが試合の主導権を取る為には大事になっていきます。
一方で、強い打球という言葉のイメージをどのようにお持ちでしょうか?
フォアハンドが強い人達のフォアハンドはたいていこれから説明する打球になっていると思います。
速いボール=強い打球だと思っている人も少なからず見受けられます。
素人目にはそれが良く思えても、我々のような指導する立場の人間からみると、もう少し別の視点からもみてることもあります。
今回の記事では強い打球のフォアハンドとは一体どういうもののことなのかを解説していきたいと思います。
この記事でわかること
- フォアハンドが強い人の打球の特徴がわかる
- それぞれの打球がもたらす効果がわかる
- それぞれの打球のポイントがわかる
プロテニス協会認定資格持ちの現役テニスコーチ。
年間1200回程度のレッスンを開催中。
僕は主に低い弾道のボールを主力武器として使っています。
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強い打球1: スピードが速いボール
フォアハンドで強い打球といえば、最もわかりやすい特徴はスピードです。
「スピードが速いボール」とは、コートを横切る際に高い速度で飛ぶショットを指します。
このタイプのボールは、反応する時間が少なく相手が打ち返すのが難しいため、試合の中で非常に効果的な攻撃手段となります。
スピードのあるボールを打つことで、相手にプレッシャーをかけ、試合の主導権を握ることができます。
スピードが速いボールの効果:
- 相手の反応時間を短縮する
スピードが速いボールは、反応する時間をほとんど与えません。これにより、相手は慌てて打たなければならず、ミスショットを誘発する可能性が高くなります。 - 攻撃の強化
高速のボールは、試合のペースを自分に有利に進めることができます。速いショットを繰り出すことで、相手のフォアハンドのプレーを制限し、こちら側の攻撃的なスタイルを維持することができます。 - コートの奥行きを利用する
スピードのあるボールは、相手のコートの奥深くに飛ばすことができるため、相手を後方に押しやることができます。これにより、相手の動きを制約し、スペースを作ることができるため、次のショットへの展開がしやすくなります。
スピードを上げるためのポイント:
- スイングスピードの向上: ラケットを素早く振ることがフォアハンドでスピードを出す場合重要です。そのためにも全身を使ったスイングで、スピードとパワーを効率的にボールに伝えましょう。
- 適切な体重移動: 体の重心を前に移動させ、下半身の力を活用することで、ボールにさらなるパワーを与え、スピードのある打球を打てるようになります。
- ラケットの適切な面角度: ラケット面が適切な角度でボールに当たることで、無駄なエネルギーをロスせず、スピードを最大限に引き出すことができます。
- インパクトの瞬間に力を集中する
ボールとラケットが接触する瞬間に、全力を注ぎ込むことが必要です。インパクトのタイミングをしっかり意識し、強い力でボールを押し出すことが、スピードを向上させるカギです。
強い打球2.タイミングが早いボール
「タイミングが速いボール」とは、ボールの上がり際を打点にして、タイミングを早めることで相手の準備時間を削り、プレッシャーをかけるボールのことです。
いわゆるライジングショットの事を指します。
これをフォアハンドの武器とする選手は多く、
スピードの速さとは異なったタイプの戦略で相手が予測や準備を十分にできない状況を作り出すことが可能となります。
試合の中で非常に効果的な武器となります。
タイミングが早いボールの効果:
- 相手の反応を困難にする
タイミングが早いボールは、ボールが速やかに相手のラケットに届くため、相手は思ったより早くプレーをしなければなりません。これにより、相手は焦りやプレッシャーを感じやすくなり、ミスショットを誘発することができます。 - 攻撃的なプレースタイルを実現する
早いタイミングで打つことで、相手に対する攻撃の主導権を握ることができます。相手が準備する前にタイミングを早めて返球することで、積極的なプレーが可能になり、相手を圧倒することができます。 - 相手のタイミングを乱す
タイミングが早いボールを打つことで、相手のリズムを崩すことができます。これにより、相手はフォアハンドで打てたとしても自身のショットをコントロールできなくなることが多く、試合の流れを自分に有利に進めることができます。
タイミングを早くするためのポイント:
- テイクバックを素早く
ボールが来る前に、準備動作(主にテイクバック)を迅速に行うことが重要です。特にフォアハンドの場合は非利き手側はすぐにラケットから手を放して、早い段階でボールに合わせられるようにしましょう。 - ボールの軌道を予測する
ボールの軌道やスピードを事前に読み取ることで、タイミングを合わせる精度が向上します。相手の打ち方や動きに注意を払い、ボールがどのように飛んでくるかを予測する力を鍛えましょう。 - リズムを保つ
自分のリズムを崩さず、タイミングを意識してプレーすることが大切です。自分のリズムを持ち続けることで、ボールに対して最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。
タイミングが早いボールは、相手にとって非常に厄介なショットであり、試合の中での優位性を確保するための強力な武器です。この技術を習得することで、より効果的なプレーが可能になり、試合の流れを自分の思うように引き寄せることができるでしょう。
強い打球3. 深さのあるボール
「深さのあるボール」とは、相手のコートのベースライン近くまでしっかりと飛ばすことで、相手にプレッシャーをかけ、打つスペースを狭くし、アングルショットや強い攻撃をさせないして攻撃のチャンスを与えないボールのことを指します。
フォアハンドで深いボールを打つことは、試合で優位に立つために非常に有効です。
深さのあるボールの効果:
- 相手の攻撃力を抑える
深いボールは、相手が攻撃的なショットを打つスペースを狭くし、攻撃力を低下させます。相手は深いボールを返球する際、フォアハンド側だとしても後退するか防御的なショットを選択せざるを得ないため、あなたが次のショットで攻撃に転じるチャンスが生まれます。 - 相手のミスを誘発する
ベースライン近くに飛んでくるボールは、相手にとってミスしやすいショットです。特に深さがあると、相手はボールを打ちづらく、コントロールを失いやすくなります。深い位置でのプレーは、相手の判断を難しくし、ミスを誘う要因となります。 - 相手を後退させる
深いボールを打つことで、相手はベースライン後方に下がらざるを得なくなり、次の攻撃や守備が遅れる可能性が高まります。これにより、コートの支配権をこちら側に引き寄せることができます。
深さを出すためのポイント:
- 体重移動を活用する
フォアハンドを打つ際にも、体重を前にしっかりと移動させることで、ボールに十分な力を伝え、深さを出すことができます。下半身からのエネルギーを利用することで、打球に力強さと深さを加えることができます。 - 弾道を普段よりも高くする
ネットの上2~3mくらいの弾道を狙うことにより、大きな弾道を作ります。これによりボールは自然と深い位置にバウンドする為、安定して深いボールを打つことができ、ミスが少なくなります。ボールは高く弾むと同時に、深くコートに沈んでいく特性を持ちます。 - 適切なラケット面の角度
ラケットの面を少し上向きにすることで、ボールに高さが加わり、深く飛ばすことが可能になります。特にベースラインからのショットでは、ラケット面の調整が深いボールを打つ鍵となります。
深さのあるボールは、相手のポジションを崩し、自分に有利な展開を作るための強力な武器です。これを使いこなせると、相手を追い詰め、ポイントを取りやすい状況を作り出すことができます。
強い打球4:回転が効いているボール
「回転が効いているボール」とは、ボールにしっかりと回転がかかっているショットを指します。
この回転は、トップスピンやスライスなど、さまざまな種類があり、それぞれの回転がボールの軌道やバウンドに影響を与えます。
回転が効いているボールは、相手にとって非常にプレッシャーをかける要素となります。
回転の効いたボールの効果:
- 変則的なバウンド
ボールに回転がかかることで、バウンドした後の軌道が変わります。特にトップスピンがかかったボールは、コートで高く跳ねるため、相手のリターンが難しくなります。これにより、相手のリズムを崩し、自分のペースに引き込むことができます。 - コントロールの向上
回転が効いたボールは、自分の狙った場所に正確に飛ばしやすくなります。ボールの回転を意識することで、ショットの精度が向上し、効果的なプレーが可能になります。狙ったエリアにしっかりとボールを落とせることで、試合での優位性を確保できます。 - 相手を翻弄する
回転を効かせたボールは、相手にとって非常に取りづらく、タイミングを外されることが多いです。特に、スライスや逆スピンを使うことで、相手が予想外の動きを強いられ、ミスを誘発することができます。
回転を効かせるためのポイント:
- ラケットの角度を意識する
回転をかけるためには、ラケット面の角度が重要です。スピンをかけるなら垂直程度、スライスなら上向きに少し開いた状態でインパクト出来るようにしましょう。特に、スライスショットの場合は、ラケットを下方向に振ることを意識して、ボールに逆回転をかけるようにしましょう。 - フィニッシュの位置を考える
ショットの後、ラケットがどの位置にあるかが回転に影響します。フォロースルーをしっかりと取り、ラケットを高い位置に持っていくことで、スピンを強化することができます。 - 体の動きを連動させる
回転をかけるとエネルギーが回転に持っていかれてスピードが出ない場合があります。しっかりと体全体を使うことでボールに与えるエネルギーを多くしていくことが大切です。足の動きや体重移動を意識しながら、ショットに力を込めることで、より強力な回転を生むことができます。
回転が効いているボールを使いこなすことで、試合の中で相手に多くのプレッシャーをかけることができ、自分のプレースタイルをより強化することができます。この技術を習得することで、試合中に相手を翻弄し、勝利へとつなげることができるでしょう。
強い打球5. 低い弾道で攻撃的なボール
「低い弾道で攻撃的なボール」とは、打球の弾道が低く、ネットギリギリを通過して、相手コートに速やかに沈んでいくショットのことを指します。
このようなボールは、相手に強い打球だと体感させやすく、プレッシャーをかけ、返球を難しくさせるのに強力な攻撃手段です。
低い打球はフォアハンドトップスピンを得意としている相手にとっては非常に効果的です。
返球する際にネットにかけやすく、また相手が積極的に攻撃できる余裕を奪います。
低い弾道で攻撃的なボールの効果:
- 相手に低い打点を強制させる
低い弾道のボールは、通常の高さで打つショットと比べて、相手が打ちにくくなります。特に、ボールが低く沈むと、相手は腰をかがめて打たなければならず、リズムが崩れることが多いです。 - バウンド後の反応を難しくする
低い弾道のボールは、地面に着いた後もバウンドが低く、相手がその後のショットをコントロールするのが難しくなります。これにより、相手の次のプレーを限定し、主導権を握るチャンスが増えます。 - ネット近くでの攻撃を促進する
低い弾道のボールは、相手がネットに近い位置で打つことを促し、ネットプレーに誘い込むことが出来ます。これにより、ボレーやスマッシュなど、相手が苦手なプレーだった場合には有利な展開を作ることが可能になります。
低い弾道を打つためのポイント:
- スイングを水平に保つ
低い弾道を出すためには、スイングの軌道を水平に保つことが重要です。ボールに対して平行に振り抜くことで、スピンを抑え、低い弾道を実現します。 - 腰を落とす
低いボールを打つためには、腰を落としてボールに対して適切な位置に立つことが大切です。しっかりとしたスタンスを保ち、ボールを捉えるタイミングを合わせることで、低い弾道を生み出すことができます。 - インパクト後にラケット面を少し伏せる
インパクト後に面が開いてるとボールが浮いてしまう場合があります。ラケット面を伏せてボールを抑え込むような使い方がボールを地面に沈ませ、低い弾道を実現します。また、体重移動を意識し、下半身の力をしっかりとボールに伝えることがポイントです。
低い弾道で攻撃的なボールは、相手にとって非常に厄介なショットとなり、試合の流れを有利に運ぶための強力な武器です。これをマスターすることで、より効果的なプレーが可能になります。
強い打球6. コントロールされたボール
「コントロールされたボール」とは、プレーヤーが意図的にコートの特定の位置に打つことができるショットのことを指します。
正確な位置に飛ばすことができるため、相手の動きを制御し、試合の流れを自分に有利に進めることが可能です。
基本的にフォアハンドではコントロールできるようになっておくことが理想です。
コントロールされたボールの効果:
- 相手の位置を読みやすくする
コントロールされたボールは、相手のポジショニングを考慮して打つため、相手が追いつくのが難しいショットを作り出します。例えば、相手が一方のサイドに偏っている場合、逆サイドにボールを打つことで、相手の動きを制限できます。 - プレッシャーを与える
位置を正確に狙えるコントロールされたボールは、相手にプレッシャーをかけます。相手が返球を強いられると、ミスショットや焦りを生む可能性が高まります。 - ラリーのペースを操る
コントロールされたボールを使用することで、ラリーのペースを自分のペースに合わせることができます。相手のリズムを崩し、自分の攻撃的なショットを打つタイミングを作りやすくなります。
コントロールを高めるためのポイント:
- 体の向きを意識する
ショットを打つ際には、体の向きを意識することが重要です。足と肩を狙いたい方向に向けることで、ボールがその方向に飛びやすくなります。正確な体の向きは、ボールの飛び方に直結します。 - フォロースルーを丁寧に
ボールを打った後のフォロースルーを丁寧に行うことで、コントロールを向上させることができます。フォロースルーで体重を前に移動させることで、ボールにスピンをかけることができ、正確に飛ばすことが可能です。 - 集中力を高める
コントロールされたボールを打つためには、集中力が不可欠です。ボールの軌道を意識し、自分の狙った方向にボールが飛ぶイメージを持ちながら打つことが大切です。
強い打球7:全てのバランスのとれたボール
「全てのバランスがとれたボール」とは、スピード、回転、深さ、コントロールの全てが調和しているショットを指します。
相手にプレッシャーをかけつつ、自分のプレースタイルを完成させていくには、色んな打球のボールを磨くことが不可欠です。
バランスの取れたショットは、テニスの技術の中でも完成形に近い為習得難易度が相当高いので高みを目指す方はぜひ挑戦してみましょう。
全てのバランスがとれたボールの効果:
- 多様性と予測困難性
バランスの取れたボールは、相手にとって打ち返しづらい要素を持っています。スピードや回転が適切に組み合わさることで、相手は次のショットを予測しにくくなり、自分のペースを崩されます。これにより、試合の主導権を握ることができます。 - 安定感の向上
バランスの取れたボールは、安定した軌道を描くため、相手に強い印象を与えることができます。コート内での位置取りが良くなるため、相手のショットに対しても余裕を持って応じることができ、試合を優位に進めやすくなります。 - 相手のミスを誘発する
多様な要素が組み合わさったショットは、相手にとって心理的プレッシャーを与えるため、ミスを誘発する可能性が高くなります。バランスの取れたショットを打つことで、相手の集中力を削ぎ、試合の流れを有利に進めることができます。
バランスを取るためのポイント:
- スイングのリズムを整える
スピード、回転、深さを意識しながら、スイングのリズムを整えることが大切です。スムーズなスイングでボールにアプローチすることで、全ての要素をバランスよく取り入れることができます。 - ポジショニングを意識する
ボールに対して適切な位置取りを行うことが、バランスを保つためには重要です。相手のショットをよく観察し、素早くポジションを移動することで、安定した打球を実現できます。 - メンタルの安定を図る
バランスの取れたボールを打つためには、精神的な安定も欠かせません。冷静にプレーを分析し、自分のプレースタイルを確立することで、試合中の判断力が向上します。
全てのバランスがとれたボールを習得することで、試合中に自信を持ってプレーできるようになります。この技術は、相手に対して優位に立つための強力な武器となり、試合での勝利へと繋がります。
フォアハンドが強い人の打球の特徴を解説!目指すべき打球のタイプを確認してみよう!:まとめ
いかがでしたか?
自分が相手に「強い打球を打ってくる人だ!」と思わせるには速い球だけではない事がわかったかと思います。
- スピードが速いボール
- タイミングが早いボール
- 深さのあるボール
- 回転が効いているボール
- 低い弾道のボール
- コントロールされたボール
- 全てのバランスがとれたボール
最後に・・・
試合ではこれらを組み合わせてプレースタイルを作っていくのが大事だと僕は思っております!